NHKニュース “家庭負担36万円”は誤り:"温暖化対策による負担と経済効果を試算している政府の専門家グループは、麻生政権で行われた試算結果について、「温暖化対策で家庭の負担は36万円」という数値は不適切な計算によるまちがった数字で、温暖化対策で直ちに家計が悪化するという誤解が生じたとする中間報告をまとめました。
この中間報告は30日、総理大臣官邸で開かれた検討チームの会合で専門家グループから報告されたものです。それによりますと、麻生政権が3つの研究機関の試算を基にまとめた「温室効果ガスを1990年に比べ25%削減した場合、家庭の負担額は年間36万円に上る」という試算結果について、可処分所得の減少額22万円と光熱費の上昇の14万円という、本来なら足してはいけない数値を不適切に加算していたもので、「不正確な情報が国民に伝達され、まちがった数字が誤って広められていた」としています。"
まるで「麻生内閣は算数のやり方も知らない、36万円という数字は全くデタラメだった」と言わんばかりの報道だが、どうして所得(可処分所得)の減少額と光熱費の上昇額を足すのは「不適切な加算」なのだろう?
NHKではそのへん何も言っていないが、考えるに「収入減で可処分所得の減少が生ずればそれに応じて(従属変数である)光熱費も少しは下がるはずなので、もともとの光熱費をベースとして増加コストを計算してはいけない」とかいう重箱の隅を突っつくような新人研修的な話だろうが、そんな違いは誤差でしかない。わかりやすさの方が遙かに大切なのだ。それをあたかも「あの試算はすべて信用ならない、温暖化対策で国民負担は増えない」という風に持って行っているのである。
森鷗外や永井荷風も文壇でケンカするときによく使った姑息なやり方だが、ポリティカリーコレクトなNHKは結論だけを取りあげて、意気揚々。
専門家グループももし麻生内閣時代の試算が間違っているというなら、正しい数字をまず出すべきだろう。ご指摘のように「算数の問題」であるなら、正しい正解はすでにお持ちのはずであるのだから。「36万円ではなく35万9千円でした」と言うことなのか? またより厳密にと言うのであれば、光熱費の増加、可処分所得の減少、支出減、収入減、可処分所得の減少、光熱費の圧縮、所得減という一連の乗数効果を収斂するまで計算してはどうか。36万円よりもっと増えるのではないか。